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イトウの刺身

僕は、あの幻の魚、「イトウ」が食べられるお店を見つけた。
昔は、イトウは東北から北海道に生息し、田んぼの用水にもいたほどだったのだが、戦後の高度経済成長に伴う河川の汚染で今では、北海道の数少ない川にだけ生息する、日本最大の淡水魚である。
イトウは15~20年生き、何度でも産卵できる。産卵期は3~5月なので旨いのは、やはり秋口からであろう。

5席ほどのカウンターと座敷。
常連らしき客がカウンターに3人いた。
僕は、まずはお酒を頼むと冷か燗か尋ねられたので、冷(常温)を頂いた。

メニューも白子の天婦羅、あんこうのとも肝など楽しみなものが並んでいる。
そして、イトウの刺身の文字。
僕は、一応尋ねてみると、あるとのこと。
もちろん、天然もののわけはない。イトウは現在環境省の絶滅危惧に指定されており、一部では捕獲を禁じられている。
そこで、青森県では、イトウの養殖に成功し日本全国に発送している。
養殖ものと解りつつも、やはり一度は味わってみたかったので注文してみた。

その時、ご主人をみて僕は愕然とした。

なんと、客と話しながらタバコを吸っているのである。

おいおい、あんた。生魚を扱う職人さんがタバコ吸っちゃダメだろ、しかも客の目の前で。。。
僕の注文が入ると、慌しく手を洗うご主人だが、もう僕の気分は萎えている。
タバコの匂いのついた指は、少々洗ったくらいでは、その匂いは落ちない。
タバコ吸いは、たいして気にならないかもしれないが、タバコを吸わない僕には、これは耐えられない。

皮肉にもでてきた刺身の身は綺麗で、美しい盛りだった。
しかし、さきほどのあれを見せられては、美味しく味わうこともできず、僕は店を後にした。

なぜ、僕がこのあたりを厳しく追求するかというと、僕にとって一人酒の時間とは、うさを晴らしに来ているのではなく、大半は、自分の生き方はこれで良いのか?ちゃんと行動できているのか?と噛み締めている時間である。
当然ご主人にも職人としての生き方を求めてしまうし、その振る舞いができてこそ「その道の人」と認め勉強することができるのだ。

居酒屋はまさに勉強の場。
一人で行くと様々な人間の人生を見ることができる。

そして、このようなとき、僕はいつも迷う。
店で不機嫌な思いをしたとき、すぐにその場で主人に言うべきか。
もう、2度と来ない店なのだから、ことを荒げないでおくべきか。。。
そういった中でも惜しいなと思う店には、ご主人の改心を求めて再び赴いてしまうのである。

追記 ちなみにイトウの味は、まさに「川のトロ」であり、臭みの無い上品な鮭といった感じだが、僕はあの鮭特有の脂臭い紅トロの方が好きである。


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コメント

今日は連続更新ですね。

お、東京でイトウ!?と思って読み進んでいたのですが・・・酒天童子さんの失望を追体験することになってしまいました。。。

自分が酔っ払ってるときに目の前でタバコを吸っているのを見なかったとしたら、果たしてタバコを吸った手で捌いた魚の味に違和感を感じるかといわれると100%の確信を持てないので、この種の話題には思い切り強気には出られない僕ですが、やっぱり目の前で見ちゃうと一気に食欲は萎えますね。

恐らくはこだわりのあるお店でしょうに、残念です。

投稿: 酒徒 | 2005/09/02 00:30

そうなのです。
メニューを見ても、こだわりが感じられるだけに、なおさら残念なのです。
とくに、繁華街にあるわけでもなく、地元の人相手の堅苦しくない営業だからの行動だとは思うのですが、残念でなりません。
しかし、こういった残念なお店って時期をおいてまた行ってみたりしちゃうんですよね。
なんとか改心して欲しいだけに、期待しちゃいます。

投稿: 酒天童子 | 2005/09/02 00:56

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