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武蔵屋(横浜 野毛)

Dsc01816


今日は横浜、野毛にやってきた。
ついに念願の武蔵屋である。
平日のこの時間にここを訪れる機会はなかなかない。

桜木町から歩くこと5分。
ワクワク気分で目的地に着いたのだが、それらしきお店は見当たらない。
あたりを歩き回ることしばし、1軒の民家からサラリーマンの4人組がでてきた。
ここか~!!
写真をみてもらえばおわかり頂けるだろう。暖簾も看板もない民家である。
すりガラスで中はわからない。時間は7時。はたして座れるだろうか?
まあ、今4人出てきたんだから座れるだろうが、やはりカウンターに座りたい。

「ガラガラガラッ。。。」

うわ~いいなぁ。。。
右にカウンター、左にテーブル、奥に小上がり。
すべてがひとつになっている。
この空間のひとつに自分が加わることに躊躇してしまいそうだ。

「武蔵屋」は、今の女将さん姉妹の父親である先代が大正8(1919)年に関内で創業した酒屋にはじまり、昭和21(1946)年にこの地に移ってきて居酒屋を始めたのだそうだ。

カウンターには古びた椅子が5つ。先客が両端に2人。
僕は真ん中に腰を降ろすことができた。
左のご老人は、ここの名物「鱈豆腐」をハフハフ摘みながら女将さんと話している。
右のサラリーマンは大瓶を傾け自分を労っている。
何年も変わらぬ風景が今日もここには流れている。

「お酒にしますか?」
女将さんの孫ほどに若い女性が注文を取る。
「はい。お酒ください。」

ここは、始めにビールかお酒か尋ねられる。
お酒はコップに3杯までと決められている。
1杯目に出てくる「おから」と「たまねぎの酢漬け」、2杯目に出てくる「納豆」と「鱈豆腐」
3杯目にでてくる「お新香」を平らげたら腰をあげなくてはならない。
小1時間ほどでさっと飲んで店をあとにするのが、通称「三杯屋」と呼ばれる所以である。

60年ほども使われているカウンターをしみじみと眺めていると箸とコップ、続いて「おから」と「たまねぎの酢漬け」が運ばれてきた。そして、女将さんが鉄瓶を持って歩み寄る。

「ちょぽちょぽちょぽちょぽ~~。。。」

そして口切り一杯でぴたっと止める。
う~ん、正に職人技である。
80歳を越えた今もその腕に衰えなし。

上燗にされた「桜正宗」はほんのりあまく香りふくよか。

うまい燗酒は冷よりも早く空いてしまう。
コップを持ち上げお姉さんに目配せ。
すると今度は若いお姉さんが注いでくれた。
女将さんよりもコップから距離をとり、その落差30CM。
そしてぴたっと寸止め。こちらもみごと。

2杯目に出てくる「納豆」はあらかじめちょうど良く味がついており燗酒との相性は抜群。
というよりここの燗された桜正宗との相性が抜群なのである。
他でやってもこうはなるまい。

客が来てからつくる「鱈豆腐」は熱々で、程よい柚子の香りがこれまた燗酒にぴったり。

あっという間の3杯目!!
今度はまたもや女将さん。ぴたっ!
最後は「お新香」で〆られる。
ようは女将さんから見ても客がなにを食ってるかでお酒の杯数がわかるのである。

う~ん、やはり3杯じゃ足りないな~。。。この空間にもっと居たいよ。
この気持ちが毎日常連を通わせる魅力なのだろう。
女将さんと若い子が楽しそうに洗い物をしながら話しているのも見ていて微笑ましい。
「武蔵屋」にしかない「古き良き」がたしかにここにある。

他の人のブログに文句をつけるわけではないのだが、ここも「伊勢藤」同様、店内や料理の写真は不要だ。
ここの「良さ」はカメラには写らない。

行けば分かるさ!

是非ご自分の目でご覧頂きたい。


お酒3杯 料理5品で2000円
京浜東北線「桜木町」駅から徒歩5分    045-231-0646
横浜市中区野毛町3-133
17:00-21:00(20:30LO)、土日祝休


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横浜、鎌倉、藤沢」カテゴリの記事

コメント

この店も行きたいと思いつつ、出国前の訪問が果たせなかったところです。行けば分かるさと言われても行けない立場がもどかしいですが、写真を見たとしてもやっぱり行かなきゃ分からないのが居酒屋の「空気」というものですよね。

酒、肴、そして女将さんたち。文中から穏やかな雰囲気が伝わってきます。こちらでは喧騒の中での食事ばかりですが、久々に古き良き居酒屋の風情を思い出しました。

投稿: 酒徒 | 2006/04/22 05:28

ここは、場所が場所だけに僕らが行ける機会はそうそう作れませんよね。
はやくもさっそく再訪したくて疼いて困っています。
記事から察するに、酒徒さんの「鍵屋」の雰囲気にどこか類似するものがあるのではと思いましたが、「鍵屋」も行かなきゃわからない!(笑)ですから軽率にはなんとも言えません。
「鍵屋」も近々行きたいと思っております。

酒徒さんの「中国遍」今か今かとお待ちしておりました。
ついに始まりましたね!(ニヤリ。)
更新楽しみにしています!

投稿: 酒天童子 | 2006/04/22 14:11

良い店に共通するのは、店の空気ですよね。写真には写らないけど、行けば戸を開けた瞬間にわかるという。
「武蔵屋」、僕の帰国時までやっていて欲しいです。

新しいブログ、今までの読者の方の生活圏から遥か離れたところの話になるので、果たして読んでもらえるのか不安ですが、宜しくお願いします!

投稿: 酒徒 | 2006/04/23 16:02

そう!まさに空気ですよね。
伊勢藤の「ピンッ!」と筋の通った空気とは違い、くつろいだ家庭的な温かさを感じました。
まあ、それぞれに行きたい気分の日がありそうです。

酒徒さんの中国遍は読む人の層が変わるかもしれませんね。
それはそれで素晴らしいと思います。
僕としては「遅刻魔S」さんのようなサブキャラクターの登場を楽しみにしています!

投稿: 酒天童子 | 2006/04/24 14:14

 あれ鉄瓶じゃなく 薬を煎じる陶器製の薬缶らしい 割れるって言ってた 武蔵屋と鍵屋は桜正宗の醸造元繋がりだそうです 昔の居酒屋は女だけは入れなかったらしく 鍵屋でその光景をみたことがあったのだけれど 昨日の武蔵屋は女二人OK ご時世で当然だよね 今の鍵屋はどうなんだろう 伝統を続けているのだろうか? 武蔵屋姉妹の他はイケ面の男衆が手伝っていますね 武蔵屋forever!

投稿: amie | 2008/11/21 00:52

amieさん

最近は武蔵屋に行くなど、明治屋に行くよりも難しい状況になってしまいまして。。

あ~あの燗酒で納豆が摘みたいです。。

鍵屋は今も女性だけでは入れないのではないでしょうか??

そんな頑固な酒場がいくつか残っていてもそれはそれで趣があるように感じています。

投稿: 酒天童子 | 2008/11/27 20:54

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