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明治屋 (天王寺)

Dsc02328


今回は久しぶりの大阪だ。
そして、ついに、ここ「明治屋」を訪れるチャンスが巡って来たのである。

17時半に梅田にバスで到着した僕は、少々焦っていた。
というのも、今日のお目当ての「明治屋」は昼の1時から開いている大衆居酒屋である。
ただでさえ常時地元の人が駆けつけるだろうに、夕方6時を過ぎれば満席になること必至と覚悟していたからだ。

谷町線の「東梅田」駅まで足早に歩き、なんとか6時に天王寺に着いた。
最寄り駅は次の「阿倍野」なのだが、今日は夜に待ち合わせが、「天王寺」であるので道を覚えるためにも、ここから向かったのである。

まずは、右肩に深く食い込んでるボストンバッグをロッカーにぶち込む!
ただでさえ混んでるだろう「明治屋」にこんなでかいバッグで乗り込んで行っては、田舎者まるだしだ。

「天王寺」から「阿倍野筋」という通りをひたすら歩いていくこと10分。
ついに「明治屋」を発見。

歩いている最中、やたらと新しい建物が目立つこの阿倍野筋沿いに、ほんとに「明治屋」はあるのだろうか?と一抹の不安を抱えていた。
だって、明治の末に酒屋として創業した明治屋は、昭和13年から居酒屋として営業を始め、60年以上の歴史を持つのだ。建物だってそれなりに古いに違いない。

しかし、そんな不安とは裏腹に、通りの向かいに一際趣き溢れる「明治屋」を見つけることが出来たのである。
まさに大阪の商人が商売をし続けてきた、独特の雰囲気が外見からも伺える。

スリガラスになっている入り口は目の高さになると中が見えた。
うわ~~、やっぱ一杯だ~。。。

右手に15人ほどが肩寄せ、ひしめき合っているカウンター。
左に4つほど突き出たテーブル席。
このまましばらく眺めていたいような大阪の庶民の暮らしがここにある。

そんな中、目をこらすとカウンターの奥に1席だけ空きを見つけた。
よしっ!!気合を入れて戸を開けた。
「カラカラカラ~ッ。。。」

しかし、店主は気付かない。
いや視界の端には入っているのだろうが、こちらを見ない。
これは、勝手に座れということなのだろうか。。。

そうは思いながらも初めての居酒屋でそこまで図々しくはできない。
ようやく目をあわせることができた店主に「一人です。」と告げると、空いてる席へと通された。

「失礼します。」
「あいよ。」

隣人への礼儀を済ませ、無事席につけた安堵感にしばし浸った。
いや~~ここはいいな~。
コンクリ打ちの土間に古い木を使った壁。
年季の入った木のカウンターはどれだけ酒を吸ってきたことだろう。
大阪の古き良きが容易に感じられた。

さて、まずはビールを瓶で頂き、ここの名物「きずし」を頼んだ。
「きずし」とはようは〆鯖である。
しかし、注文する時「きずし」の語尾は上がるのだろうか。下がるのだろうか。と少々迷いながらも注文した。
ばれているだろうが、あからさまによそ者を主張できるほど、今日はまだ酔っていない。
カウンター越しに店主に告げるのではなく、店員さんが後ろを通った時にそっと告げたのである。。。

さて、いよいよお酒へとうつるとしよう。
ここのお酒は「松竹海老」の樽酒。
店主の後ろに置かれた4斗樽から注がれる酒を枡で受け、それを燗付け機に入れていく。
この銅製の燗付け機がまるでジブリにでてくるような丸くて柔らか味のある古さなのである。
上にあいた穴に酒を流し込み、下についたコックをひねると燗酒が出てくる仕組みだ。

そして、ここの御銚子は酒飲みなら誰もが心動かされるであろう。
ガラスつくりの御銚子に縦書きで「明治屋」と入っている。
ここからお猪口についで飲むことの至福さといったら言葉にならない。

横浜野毛の「武蔵屋」に近い上燗であるが、樽の杉の香りがとても立ちほんのり甘い味を清清しく感じさせる。
この燗と「きずし」に大阪の風を感じた。

他に、特撰酒として「剣菱」「菊正宗」。
純米が「菊姫」「秋鹿」「土佐鶴」「美少年」。
吟醸が「加茂泉」「男山」「大山」「ますみ」。でありすべてが500円以下だ。

「きずし」を摘みながら、さっと飲んでさっと帰る。
ほとんどの客が2000円以下におさえているのにも常連の多さが感じられる。

他に、「佐藤」などの芋焼酎や「くら」など泡盛も置かれているのに驚いた。
この辺りが、関東の「格式」ではなく関西の「商い」を感じさせる。

この店にはメニューがなくすべて壁にかかった黒板に記されている。
品目はちょうど30品。
旬な素材を使った魚介ものや、庶民の味である「どて焼き」等、まさに厳選された摘みだ。
酒飲みは、3品もあれば肴は十分である。
それでも、30品も置いているところにやはり「商い」を感じるのは僕だけではないはずだ。

「きずし」以外に頂いた「ねぎたこ」は本当に美味しかった。
軽く湯引いて吸盤を立たせた蛸に「わけぎ」と「もみじおろし」が乗っている。
蛸といえば関西。
まさに納得の逸品であった。

最後に、酢味噌を塗って頂く「皮くじら」を愉しんだ。
なんとも言えない皮岸の脂と酢味噌のうまさ、そして、それを杉の香り高い燗酒で愉しむ。

20代~60代まで様々な世代が入り混じっているが一つに感じる。
そんな素晴らしい大阪の文化が感じられる「明治屋」であった。


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大阪庶民の愛する文化がここにある。
燗酒の杉の香りに誘われて。。。

「天王寺」駅から徒歩10分 「阿倍野」駅より徒歩3分
大阪市阿倍野区阿倍野筋2-5-4
TEL 06-6641-5280
営業時間 13:00~22:00
定休日 日曜


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コメント

この数日間、何度試してもダウンロードが途中の記事で止まってしまっていたのですが、ようやく読めました!
あの明治屋にいらしただなんて、うらやましいです!

>「きずし」の語尾は上がるのだろうか。下がるのだろうか。

これ、確かに悩みますね。結局、どちらが正しいんですか?(笑)

かなりの老舗ながら、他県の酒や焼酎・泡盛まで置いてしまう柔軟性が面白いですね。きずし、ねぎたこ、皮くじらという単語ひとつひとつを見て、日本が恋しくなりました。

投稿: 酒徒 | 2006/09/09 11:51

ダウンロードが止まってしまう!?
僕の、載せてる写真の容量が大きすぎるのでしょうか?
それとも、遠く中国からお読み頂いている酒徒さんの欲求を高めるサーバー側の新手のサービスか^-^

「きずし」は分からないので、少し下げ気味でごまかしました。
僕が、知らないだけで東京にも類似したお店があるのかも知れませんが、お店は客層も大きな割合を占めますもんね。

やはり、ここにこなくては味わえない雰囲気だと思いました。

投稿: 酒天童子 | 2006/09/10 14:10

写真もそうですが、かなり記事がたまってきたことが理由かもしれません。深夜など、サーバーが速いときは最後までいけるんですが、静岡辺りで止まっちゃうことが多いです。。

こっちに来てから敢えて和食と日本酒は経つようにしているので、最近は欲求が高まりまくりです。

投稿: 酒徒 | 2006/09/11 19:53

そうですか~。。。ご迷惑おかけしています。
ちょうど、今日記事を書いていたら100件に達していたので、その辺りもあるのかと思います。

たぶん、画像の問題だと思うので、近々調整しておきます。

そろそろ、こちらは伊勢藤に行きたい季節になってきました。
和食と日本酒をお断ちとのこと、ご立派です。
一時帰国の暴れっぷりを楽しみにしております。

投稿: 酒天童子 | 2006/09/12 00:42

きずしの語尾は上がりも下がりもしません。
普通にきずしと言えば大丈夫です。

投稿: ポンすけ | 2010/11/18 01:35

口に出したときに大阪の人の視線が集まりそうでおどおどしていました。。

次からは胸を張れます!

投稿: 童子 | 2011/01/09 00:56

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