« 英勲 (齊藤酒造) | トップページ | みますや (神田) »

新八 (しんぱち) 神田

Dsc02894_1


久しぶりに友人と都心で飲むことになり、店選びを任された。
人数は4人。みんなが日本酒を飲めるわけではない。
さてどうしよう。。。

そんな中、僕の頭をよぎったのは神田の「みますや」である。
ここには、ずっと訪れたいと思いつつも、カウンターが無いと伺っていたので、共に行ける仲間を求めていたのだ。

創業明治38年、2005年には100年目を迎えた老舗である。
大戦中の空襲を逃れ、昭和初期に建てられたお店は、なんとも言えない佇まいを残していると評判である。

しかし、このお店、大衆酒場にして予約が無いと旬な時間には入店できないとのいわく付き。
仕方ないので、予約してから参った次第だ。

今日は土曜日の夕方。
「みますや」は予約が7時から。
みんなが来る前に僕は、神田を散策しようとわくわく!
僕は、大学時代を神保町で過ごした。今思えばなぜあの時に、この辺りを回っておかなかったのかと後悔の念が込み上げて来る。

降り立ったJR「神田駅」の北口。
前評判から、刺身の美味い「浜貞」にいくつもりだった。
しかし、やってくると今日は休みのご様子。
仕方ないので駅周辺をしばし散策してみた。

途中、いわし料理屋で「穴子の刺身」を出す店に出逢ったのだが、準備中。
気を取り直して歩き続けると、なんとも風情溢れる佇まいに、惹きこまれる様にその店の前に立っていた。

店の名は「新八」。

あ~~ここが新八なんだ~!
神田にあって刺身に関しては定評ありき有名店である。
しかし、お値段もそこそこ張るので今回は遠慮しようと考えていた次第だ。

まあでも、自分の嗅覚で偶然にも探り当てたお店。
入らないのも自分の感性に背く。

入ってみると随分縦長の店内。
メニューをいくつも抱えた店員さんにカウンターに通される。
飲み物、食べ物、本日のお勧め。。。

通されたカウンターは6席ほどしかないが、良い感じの厨房との距離に気持ちも昂ぶる。
そして、お品書きに目を通す楽しみは、まさにこの瞬間にしか味わえない独特の特権である。

僕は迷わずこの2品。
神亀(しんかめ)の純米(800円)のぬる燗と「ナマコのこのわた和え」。(980円)

板前さんから手渡しでカウンターをはさんで渡される「ナマコ」と同時に運ばれてくる「神亀」。
どこの店にも「名物女将」というのはいるが、このお店にもなんとも良さげな若女将がいる。

「すみません。。。ぬる燗よりも少し熱いかもしれません。」

「いえ、この時期はそのほうがありがたいです。」

と女将さんに言葉を返す。

しかし、瞬時に察する女将さんの心遣い。
僕が頼んだ「ナマコのこのわた和え」から、「この人はじっくり飲むのだ。」と悟り、少し熱めにつけてくれた配慮。
しかも、それを「すみません。」と店側からの押し付けではないと表明しているあたりの潔さに、僕はこの店の接客に対するレベルの高さを感じた。

これがこの店のスタンダードなのだ。

しかも、このお猪口が目一杯口の広い中国風な御猪口なのだ。
これで燗酒を頂くと、飲み干す頃にはすっと冷めているのだが、御猪口に注ぐと毎度温かく感じられる。
そのためか徳利は細長いものが用いられている。

う~~ん、この辺りは懐石料理に通ずるものがあるな。
かつて懐石とは旅を続けるお客の冷えた身体を温めるために、温かい石を懐に抱かせたことに始まると言う。

そして、ただでさえうまい「ナマコ」がナマコの腸の塩辛である「このわた」との和えものなのだから、これがうまくないわけがない。
しかも、ここのナマコは赤ナマコ。
ナマコには、「赤」と「黒」があるが、味が良いのは断然「赤ナマコ」である。

こだわったこのお店は刺身も実に良さそうな品が置かれている。
「関さば」や「かわはぎ」に踊る心を抑えるが目に入った「黒鯛」の文字。
う~~~ん、「チヌ」が食えるのか~!!

恐らく鹿児島あたりの「チヌ」だろうが、このねっとりとしつつも爽やかで上品な甘みは真鯛の上を行く美味さである。
これらはだいたい1000円~1500円。
少々高いが、「神亀」の他にも様々な銘酒が揃うこの店でこれらの刺身が食える幸せといったらないであろう。

結局、今回は刺身を愉しむ時間は持てなかったのだが、また機を改めて訪れたい。
お通しも「白菜の粕漬け」とこの季節に合わせ、燗酒に合う様に心配りがされている。

神田 「新八」。
築地のネタを江戸っ子が振舞う店がここにある。


JR「神田」駅から徒歩3分
03-3254-9729  千代田区鍛冶町2-9-1
17:00~23:00
日曜・祝日定休


« 英勲 (齊藤酒造) | トップページ | みますや (神田) »

東京(東京、神田)」カテゴリの記事

コメント

新八、カウンターはよさそうですねえ。
複数で小上がりに行った時はそこまでの心遣いを感じられず、
ただ高いだけの店かと認識してしまっていました。。
店は数度行っただけじゃ分からないことも多いですね。

投稿: 酒徒 | 2007/02/12 15:54

わずか6席ですが、良い感じでした。
神田で土曜ということもあり空いていたのも大きかったのかもしれません。。男性の店員さんからはそこまで感じられませんでしたが、若女将のような方が非常に好印象でした。お酒への造詣も深そうです。
しかし、でしゃばらないみたいな。

カウンターの中では、若い板さんがきびきびと動いていてそれも気持ちよかったです。
やはり、一人で行ったのと何人かで行ったのとでは店の印象も違ってくるかもしれませんね。
今回は突き出しとナマコしか食べてないので、全体的な料理のレベルがあの値段に適っているのか、再訪してまた確かめてみたいと思います。

投稿: 酒天童子 | 2007/02/12 23:03

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/57415/13864522

この記事へのトラックバック一覧です: 新八 (しんぱち) 神田:

« 英勲 (齊藤酒造) | トップページ | みますや (神田) »