夏の伊勢藤 (神楽坂)

Photo

久しぶりの神楽坂。
大粒の雨に打たれながら、縄暖簾をくぐり、分厚いカウンターに着く。

ふ~。。
今日も暑い。

窓際には、蚊取り線香が焚かれ、煙の揺れる様が実に趣深い。

夏祭りのためにつくったと言う伊勢藤の団扇をいただき、右手にはお猪口を持ちながら静かに時は流れていった。


JR「飯田橋」より徒歩5分
東京都新宿区神楽坂4-2  03-3260-6363
17:00~20:30L.O.20:30、閉店21:30
土曜、日曜、祝日、定休

お通し1500円 酒500円 肴400円


| コメント (0) | トラックバック (0)

中秋の伊勢藤 (神楽坂)

Dsc00121

久しぶりに背筋を伸ばして酒を飲みに来た。

初めてこの店を訪れた時は「神楽坂」の裏道をさまよいながら辿り着いたが、今となってはさっと裏道に入って行ける。この「さっ」と細い路地に入って行けるのがなんとも心地良いのだ。

そして相も変わらず素晴らしい佇まいだな~。。

暗い路地にぼんやりと灯る灯り。戸を引く前にもう一度心構えを見直せと言わんばかりの縄暖簾。
僕が知る限り東京の中で、ここまで素晴らしい佇まいの店はそんなに思い浮かばない。。

僕にここまで言わしめるのが酒飲みの間では「国宝」とまで称えられる「伊勢藤」なのである。
創業昭和12年。今は3代目のご主人が店を守る。

ご主人に一礼し一人と告げるとカウンターに促される。
お燗番のご主人と囲炉裏を囲むように座れるカウンターはわずか6席。

背筋を伸ばしつつ肩を狭めつつ上手に飲むのが伊勢藤で求められる酒品である。

まずは、おしぼりと肴が順に運ばれてくる。
ここは一汁四菜がお通しとなっており、これらを食べ終えてから追加の注文ができるのだ。

しかし、たいていの酒飲みがこの四菜で酒を飲み、最後に汁を頂いて帰るのは、これらのお通しがよほど酒と合うように造られているからだろう。

この日は次の四菜。
「煮物」「磯のり」「ほやの塩辛」「おひたし」である。

「煮物」は野菜の味がしっかりと美味しく、「磯のり」はおそらく歯ごたえに入れてある海月が愉しい。「ほやの塩辛」はまさに燗酒に最適で「おひたし」は口を休めるのに良い。

僕はこれらだけで4,5合飲んでしまうこともざらなのだが、この日は「味噌田楽」と「納豆」を追加でもらった。

「伊勢藤」で追加する人の多くはまずこの「田楽」からもらう人が多い。
それは先ほどのお通しを食べながら酒を飲んでもらえればわかるが、自然と次に欲しくなる一品なのである。

そして、この日初めて頼んだ「納豆」。
それは燗酒を飲んでいて横浜の「武蔵屋」を思い出したからである。

僕は度々燗酒を飲むと「武蔵屋」を思い出すのだ。
女将さんは元気かな。。

「伊勢藤」の「納豆」は玉子、ねぎ、青海苔が混ぜる前の状態で出される。
こういった一手間かけるのに、それが味を邪魔してないのが「伊勢藤」の肴すべてに共通する素晴らしさなのだ。

う~ん、この納豆も美味い!
しかし、どちらかと聞かれたら僕は「武蔵屋」の納豆とあの「上燗」の相性のほうが上だと思う。単純な「納豆」がこうまで僕の中で議論されるのはすごいことだよな~。。

「伊勢藤」の酒は灘の男酒「白鷹」!
店には四斗樽が置いてあるが、出されるのは樽酒ではない。

囲炉裏の真ん中に丁寧に積み上げられた炭の周りには湯が沸かされ、そこで徳利は湯燗される。客に出す前に「これでもか!」とじっくりご主人が手の平で徳利を握り、温め具合を確かめる。

ああ。。やはりここで頂く燗酒は東京一美味いなぁ。。

他にも根岸の「鍵屋」や門前仲町の「浅七」などが思い浮かぶが、やはり「伊勢藤」は別格なのである。

それはここでいくら書いても、写真を載せても伝わらないことなのだ。
ああ、素晴らしき「伊勢藤」。。

「飯田橋」駅より徒歩5分
新宿区神楽坂4-2 03-3260-6363
17:00~21:30 LO 20:30
土日、祝 定休

お通し1500円 酒500円 肴400円

| コメント (0) | トラックバック (0)

伊勢藤(いせとう) 神楽坂

DSC01264


場所は神楽坂。
東京の下町の中でも、独自の文化を今尚匂いたたせる趣き漂う土地である。
一本路地裏に入ると、ひっそりと佇む料亭処。
今にも、曲がり角から芸者さんがふと顔をだしそうな、そんな界隈である。
そんな中、一層際立つ風情ある佇まいが、この伊勢藤である。
創業昭和12年。
言葉にはできない、素晴らしい佇まいだ。

暖簾をくぐると、左手に鍵の字型に広がる6席ほどのカウンター。
4人のお客が座っており、一人とのことを伝えると、お燗番のご主人の前に通された。
囲炉裏でお燗番をしているご主人と一番近いこの席は、入店前から憧れはあったものの恐れ多くとても期待はできなかった。
しかし、今日はその席が一番居心地良いですよ!と言わんばかりにぽっかり空いており、そこに僕のケツは落ち着くことになったのである。

おしぼりで顔を拭き「ふ~~~。。。」と一息。
なんとも癒される感覚を辿ると、お店の優しい灯りの具合に気が付く。
昭和初期にタイムスリップしたかのような、なんとも言えない優しい灯り。
そして、様々なものが沁みこみ自らを表現する梁や天井。そして土壁。
この店を国宝と称える意味が容易に感じられる。

そう。この店を伝えるのに、店内の画像は不要だ。
それは、この有様を画像に収めることが、お店に対して礼儀を逸脱した行為に感じられるのと同時に、この雰囲気は画像からは、絶対に伝わらないからだ。
むしろ、画像が現実よりも安っぽく写ってしまい、この記事を読んでくれた方に誤解を招くことも否めない。

客層は、やはり酸いも甘いも知った60過ぎくらいの方が多い。
僕の横にいた若い人は、店の雰囲気にのまれ酔いもせぬうちに足早に去っていった。
やはり、前評判と実際の雰囲気が重なることで、びびったのだろう。
先代のときは、大きな声、女性の一人酒はご法度だったそうな。
現在の3代目ご主人は、そこまでは厳しくないにしろ、座敷から下品な笑い声があがるとやはり注意する。
そして、湯煎し燗しているときの真剣なこと。
熱の伝わりやすい すず でできた器で燗するのだが、そろそろと思うと手のひらで器を包み、念入りに確かめる。
納得いくと、左手に持った徳利の中に注いでいくのだが、この注ぐ落差が50CMほどあるのは、正に職人技。
これだけ、思いを込められた燗酒はここ以外では飲めないだろう。
お酒は、灘の男酒、「白鷹」。
宮水で造られ、伊勢神宮にも永年納められている由緒ただしき銘酒だ。
ここは、お酒はこの「白鷹」のみ。ビールもなければ、焼酎も無い。
この頑固さが腹まで沁みるこだわりなのである。

料理は、1汁4菜のお通しが出される。
4品は非常に「良く考えてるな~。」と唸る品々。
えんどう豆。ちくわ。鮫の骨の梅肉和え。海月の雲丹和え。
小鉢に軽くよそわれたこれらは、量もちょうどよく、また飲みが進んでも、飽くことなく愉しめる絶妙な味のバランス。
特に、鮫の骨の梅肉和えは、なんとも言えなく気持ち良い食感と酸味。
また、海月の雲丹和えは、海の香りが漂いホヤを上品にしたような風味。
極上の肴に杯は容易に空いていく。

ふと気付くと杯の水面に浮かぶ満月。
それは、見間違うた優しい灯りだった。
時より ふあ~~~。。。と吹き抜ける風と虫の声。
ぱちぱちっ。。。っと弾ける炭の音が心地良い。

これだけのお店を継承したご主人。
きっと、様々なプレッシャーもあるに違いない。
古き良き。を後に伝えていくことの厳しさが仕草の節々に感じられる。
「アメリカやイギリスに住んでいた時期が改めて日本の素晴らしさを気付かせてくれた。」
と言うご主人は、ご主人なりのこだわりと人柄を打ち出しながらこれからのお店を色づけていくのだろう。

5合も飲んだ間に、重ねた数々の会話が他にもあるのだが、その内容は伏せておこう。
僕が、酒天童子を書いて以来、「僕だけの心に留めておきたい。」という思いがこれほどまでに降り積もった伊勢藤だからである。

東京都新宿区神楽坂4-2     03-3260-6363
JR「飯田橋」より徒歩5分。

営業時間 17:00~20:30L.O.20:30、閉店21:30
定休日 土曜、日曜、祝日

お通し1500円 酒500円 肴400円

| コメント (6) | トラックバック (0)