秋風に吹かれ鍵屋の暖簾をくぐる。(根岸)

肌寒くなってきた神無月。

そろそろあの燗が恋しいな。ということでやってきたのは、鶯谷。

「ぴゅーっ。。」と吹く風が尚更店へと急がせる。

久しぶりにここの暖簾をくぐるなあ。。

今宵は、入ってすぐの角使い。

さっそく甘いの(桜正宗)をもらい、「鴨焼き」と「くりから」をもらう。

いつ撫でても貫禄のある一枚板。

そんな上だからこそ、土曜日限定の「玉子焼き」が映えるのだ。

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しっとりと甘い玉子と、擦り下ろしではなく千切りにされた大根。

この「甘さ」と「辛さ」を酒で包める幸せは、ここ以外にない!


JR「鶯谷」駅から徒歩5分  台東区根岸3-6-23  03ー3872ー2227
営業時間/17時~21時
定休日/日曜・祝日

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年の瀬の鍵屋 (根岸)

名古屋からきた友人を連れて年末の「鍵屋」を訪れた。

東京らしい居酒屋に!という要望をもらっていたので迷うことなくここへ連れて来たのである。

おやじさんはまだ仕込み中とのことで、女将さんに注文を頼んだ。
まずは瓶ビールと「鰻のくりから焼き」、「鳥かわ」、そして名古屋から来た彼女の目に留まった「味噌おでん」!

いつも「くりから」から頼むか「鴨焼き」から頼むか迷うのが常の鍵屋。
あとに控えている燗のことを考えるとついつい「くりから」を後にしたいのだが、まあまた頼めば良いか!
と甘えてしまうのも常なのだ。

なにを見ても歴史を感じさせるここ鍵屋。
彼女もすべてが目新しく、それでいて落ち着くとご満悦の様子。

おやじさんが降りてきたので挨拶をし、甘いの(櫻正宗)を点けて貰う。
燗点け器の前のためか、顔がほてり紅色に染まる頬。
紅の縁取りのついたお猪口とも映えて実に艶っぽい。

気がつけば、カウンターも小上がりもすべてが満席の今夜。
やはりこの季節にいつも来たくなるのは、僕だけではなかったのだな。。

今年もありがとう。。鍵屋。おやじさん。


JR「鶯谷」駅から徒歩5分  台東区根岸3-6-23  03ー3872ー2227
17時~21時
日曜・祝日 定休

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おでん おせん (鶯谷)

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「おでんも頼んで良いですか~?」
おっ、良いところに目をつけたけど今夜はこの後、連れて行きたいおでん屋があるのよ!
と「鍵屋」を出た僕ら。

言問い通りに出て根津方面に歩くことしばし。。
赤い提灯って遠くからでも良く見えるもんだよな~。。

やってきたのは、鍵屋に負けない佇まいを見せる「おでん おせん」。
昭和33年から始めたらしいが、建物はもっと古そうだ。
連れはあまりの珍しさに携帯で写真を撮っている。

「がらがらがらっ。」

「いらっしゃい!」
カウンターの向こうに赤い和傘模様の暖簾があり、その下におばあちゃんが座っている。
この人が「おせんさん」か~。
5席ほどのカウンターに先客が3人。
うん、今日はツいてるな~。ちょうど2席空いている。

ふ~っ。。とおしぼりで顔を拭きメニューを探すも見当たらないので、尋ねてみる。
「すみません、お酒は何がおいてありますか?」
「日本酒、焼酎、ビール、なんでもあるよ。ビールならそこから勝手に出して飲んどくれ。」
と僕らの後ろの冷蔵庫を指差す。

「食べ物はおでんしかないよ。」
「もちろんです!おでんが食べたくて来ましたから。」
「あら嬉しいね~。そいじゃあたしが取ってあげようかね~。」
と言うとおせんさんは立ち上がり、カウンターの端に置いてある「おでん鍋」のふたを開けた。

「うわ~、なにがあるんですか~?」と連れが駆け寄り、好きなものを注文している。
「たまごと大根下さい。」
「すじ肉は食べないのかい?」
「食べます♪」
「がんもは食べないのかい?」
「食べます♪」
お~い、適当に見繕ってもらって、早く帰ってこ~い!
となにやら楽しそうにやり取りしている連れが微笑ましい。

「日本酒はなんですか?」
「うちは初孫だよ。焼酎は芋もあるよ。」
「じゃあ初孫と芋のお湯割りを下さい。」
と言うと魔法ビンを引き寄せお湯割を作ってくれた。
「はいっ、お酒」
と出してくれたのは、下北沢の「おでん 宮鍵」で出されるのと同じ、僕の好きな初孫の徳利だ。いや~嬉しいな~。

店内は終始5人で酒を飲み続けた。
御歳85歳というこの「おせんさん」。
まさに、「昭和の強い女」というのが全身から滲み出ている。

開店と同時に閉店まで離さないグラスには、足元に置いてある1升ビンから何度酒が足されることか。そして、「おせんさん」は下ネタが大好き。
「酒を飲む場所はこういった話が良いんだよ。暗い話したって仕様がない!」
と言い切る気持ちよさは、旦那さんが芸人だったせいもあるのであろう。

こんな楽しい酒なら毎晩来ちゃうよ!
という常連も少なくないだろう。だって、僕は翌日また行こうかと思いましたもん!
元気なおばあちゃんが店を守る鶯谷の「おせん」。

温かいおでんを摘みつつ笑い声の絶えない店がここにある。


「鶯谷」駅北口から徒歩7分 台東区上野桜木1-14-25
18:00~0:00
火曜、水曜定休
おせんさんの体調によって開いてない日もあります。
2人でおでん7品ほどと酒を3杯くらいずつ飲んで2900円。

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若い子と訪れる老舗 (鍵屋 鶯谷)

すっかり酒にも、雰囲気にも酔ってしまった「神谷酒場」。
そろそろ「鶯谷」へ行かなければ。。

帰り道に「喜多屋酒店」を通ると、サラリーマンのおじ様方3人が缶ビールを飲んでいる。
いいな~、その後日本酒をきゅっと飲むんだろうな~。。
僕もお邪魔して一緒に飲みたいけど、いかんせん時間がないのよ。。

「初恋屋」には15分ならいれるかなぁ。
「かわはぎ」と酒1杯でご馳走様のコースだ。
「がらがらがらっ。。」
おっ、カウンターが1席だけ空いているぞ!滑り込みセーフか!?

「こちらへどうぞ!」女将さんが通してくれる。
「おい、そこはダメだろ!!」とカウンターの中からご主人。
「すみません。満席なんですよ。。」
が~~ん、恐らく横にいた人の連れが遅れているのであろう。
この日は恋が実りませんでした。。

気を取り直してやってきた「鶯谷」。
「老舗居酒屋に行ってみたいんです~。」と言って来た若い子を連れて向かうは、もちろん「鍵屋」!

なんだかんだで平日に来るのは、まだ2度目だな~。いつも土曜の夜だもんな~。。
怪しいラブホ街を横目に歩き出した僕ら。連れの子もなんとも不安そうな顔をしている。

しかし、「鍵屋」前に着くと「うわ~~♪」と彼女。
「ありがとう存じました。」女将さんの声と同時に3人のおじ様が出てきた。

ここも、辺りの暗さと店内の明るさのギャップがなんともホッとさせてくれるんだよな~。
暖簾をくぐると、小上がりのテーブル席とカウンターが2つ空いていた。
小上がりから店内の全体を眺めるのも良いが、老舗が初めてなら尚更カウンターに座らせたい。

「かばんはあっちに置くと良いよ!」
まるで1千万円入っているかのように大事に抱えてる連れに、隣のおじ様から助言を頂いた。
やっぱり、20代半ばの子がいると目立つものだな、ここでは。

まずは、ビールをもらい「鴨焼き」と「くりから」を頼んだ。
「とくとくとくとく~~っ。。。」
鰻の焼ける匂いを肴に一気に飲み干す。
く~~っ、たまんね~!

どうだい、この分厚いカウンターは!ぐうの音も出まい!!
「うわ~、これはなんですか~?」
おっ、よく気がついたじゃないか!
「これは銅でできたお酒を温めるもので、中で沸かしたお湯で湯煎してるんだよ~。」
「へ~~~っ☆」
うんうん、いいなぁ。たまにはこういうの。

「はい!鴨焼き。」
いや~相変わらず美味そうだ!
鴨は脂が垂れるほどジューシーでネギはほのかに焦がされている。
これを一緒に頬張ったら、顔が緩む緩む。

「はい!くりから。」
串に巻きつく様に刺された鰻。
七味を「ちょちょっ」とかけて頂く。
「う~~ん!美味しいです~!」
そうだろう、そうだろう!

ここで、さっきから連れが気になっている燗付け器のお酒に変え、肴もなにか温かいものを頼むことに。
今日は、春とは思えないほど寒かった。

「おっ、まだ湯豆腐があるのか!う~ん、鳥かわ鍋、鳥もつ鍋もいいな~。どうする?」
「もつでお願いします!」
う~ん、さすが博多っ子。
「オヤジさん、甘いの(櫻正宗)と鳥もつ鍋!」
「はいよ~。。」

博多の「もつ鍋」は味噌や塩仕立てだが、醤油仕立てのここのは優しい味だ。
こんにゃくや玉ねぎが甘く仕上がり、鳥のもつは歯ごたえもぷりぷり!

日本酒は普段ほとんど飲まず、焼酎党の連れ。
しかし、この日は赤い縁取りのお猪口で「甘いの」を頂き、「お正月の味がします♪」と頬を染めていたのであった。

JR「鶯谷」駅から徒歩5分  台東区根岸3-6-23  03ー3872ー2227
営業時間/17時~21時
定休日/日曜・祝日

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神谷酒場 (田端)

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駅からの甘い誘惑に何度も負けそうになりながら、ついに辿り着いた「神谷酒場」。
う~ん、なんとも言えない佇まいだ。。
縄暖簾の向こうは曇りガラス。
そのガラスの中は、どんな空間が広がっているのか。意を決して戸を開けた。

「がらがらがらっ。。」

うわ~。。まだこんな酒場が都内に残っていたんだ~。。
説明するのがなんとも難しいが、まさに「ここに相応しい」と思わされた。
もちろん、周りの建物なんかとのギャップはあるのだが。。
それは、ここまで15分歩いてこの街を見てきたからこそ、こう感じるのだろうな。

雰囲気としては僕が知る限り、横浜野毛の「武蔵屋」に似ている。
決して敷居の高くない、昔から地元の人に愛されている大衆的な雰囲気だ。

10人ほどが座れる変形L字型のカウンター。
そこには、開店と同時に入ったと思われる一人の粋なおじ様がいらっしゃった。
僕は優しく迎えてくれた女将さんの前に腰を下ろした。

このカウンターも年季入ってるな~。まるで月島の「岸田屋」のようだ。
触り心地はそこらの女性じゃ太刀打ちできないほど滑らかだ。
カウンターフェチの僕としては、思わずじっくりと撫でてしまう。

女将さんも僕の怪しさに怪訝な顔をしている。
慌てて「黒ラベルの小瓶」を頼んだ。

「とくとくとく~~っ。。」と注いだグラスをじっくりじっくりと頂いた。
ぷは~~っ!うまいっ!!

グラスを置くと改めてその存在感の大きさに気づかされる。
これが「木製の冷蔵庫」かぁ。。。

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高さ130cm 幅1mほどの立派なガタイにイカツイ鍵がいくつもついている。
今ではこの冷蔵庫は使っていないが、まだ氷屋がいた60年代までは使っていたのだそう。
「Always 3丁目の夕日」でしか見たことの無い、このタイプの冷蔵庫。
僕世代の人には目新しく映るに違いない。

う~ん、その他にも店内、至る所に見とれてしまうな~。。
ここは、昭和7年からお店をやっているそうだが、建物は戦争で焼けてしまったため建て替えたのだそう。それにしても築60年以上。途方も無い年月である。

さて、ここは「デンキブラン」で有名な「神谷バー」から、先代が暖簾分けを許されたお店。
ひとつ名物の「デンキハイボール」を頼んでみよう。
摘みは「アジフライ」と迷ったあげく「煮込み」を注文した。

すると、僕のカウンターに赤いチョークで1本線が引かれた。
なるほど。これが伝票代わりか。

摘みは「刺身」「ブツ切」「串カツ」「アジフライ」「ししゃも」「煮込み」「ウヰンナー」などが300円~600円。この「ウヰンナー」って書き方がいいじゃない!
品書きがチョークで書いてある黒板も良い感じなんだわ~。。

酒はデンキハイボール、焼酎ハイボール、焼酎ライムハイ、大ビール、小ビール、ウイスキハイ、黒ビール、泡盛、ハチブド酒などが300円くらい。

隣の粋なおじ様は「串カツ」に「酎ハイ」でゴッキュゴキュやってますわ!
どうやら職人さんらしく、先代の頃は朝から飲みに来ていたのだそう。

「朝から飲んじゃうとダルくて仕事にならね~んだわ。」
なんて言いながら粋なシャツをバリッと着てるおじ様。カッコええわ~!

本当はそろそろさっきの「初恋屋」に行かないと時間がないんだけど、女将さんやこのおじ様とのお話が面白くて、ついつい僕も「酎ハイ」を追加。
今度は白いチョークをぴっと引かれ、改めて店内を見渡すと「神谷商店」と名の入った半纏が目に入った。

先代が「神谷バー」で修行していた時に、店のユニフォームとして着ていたそうで、なんとも言えない歴史を放っている。
度肝を抜かれるほどおっきなテレビが小上がりに構えているのは僕としては残念だが、また一つこうした酒場と出会えたことに心から感謝した、ここ「神谷酒場」であった。


北区田端新町2-25-1
03-3800-8189
日曜日定休 
16:30~24:00

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初恋屋、喜多屋酒店 (田端)

初めて降り立った「田端」。
今日は夜に「鶯谷」で待ち合わせがあるのだが、仕事が早く終わったのでその前にちょっとぶらりとしよう。

今日のお目当ては、駅から15分ほど歩いたところにある「神谷酒場」。
16:30から開いてるとのことなので、まずはそこへと向かう。

駅から高架下に歩くこと3分、ここも良さそうな「初恋屋」。

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なんてったって名前がいいじゃない!

新鮮な刺身が評判なこの店も、長年この地で愛され続け、6時過ぎには一杯になるのだとか。
店頭に書いてある「本日の品書き」に目をやると「黒ソイ刺し 450円」や「かわはぎ 600円」など、なんとも心躍るものが目に入る。
う~む、こりゃ、是非後で来たいな!

「初恋屋」の角を曲がり少し行くと、思わず目が釘付けになった。

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「喜多屋酒店」。
まるで井筒監督の「パッチギ」の中でオダギリジョー扮する酒屋が60年代に開いていたような懐かしさ。
いや~これこそ、この前「立ち飲み」のところで僕が書いた、昔スタイルの「立ち飲み屋」だ!
夕暮れ時に目にするこの光景。
まるで時間が止まっているようだ。

これはまずはここで今夜は口開けだ!
「すみませ~ん、一杯飲ませてもらえますか。」

奥で机に座り、伝票整理をしていた店主に声をかける。
「あ~~、まだやってないんだよね~。」

ん?店は開いていても飲ます時間は決まっているのか。夏なんか昼から冷や酒を「キュッ!」っとやりにくる客だっているだろうに。

「何時からですか?」
「5時過ぎくらいからかな~。」

なんだよ、今もう5時前じゃん。ちゅ~~っと立って、ちゅ~~っと注いでくれればいいじゃん。
だ~れもいない夕暮れ時にこんな空間で酒が飲めたらな~。と後ろ髪引かれつつ店を後にした。
品揃えは「浦霞」「〆張鶴」「越乃白梅」などが250円からで泡盛は甕で置いてあった。

いや~この時点で早くもすっごくテンション上がってますわ~!
東京もまだまだ面白いところが一杯あるな~。

さてさて、当初の予定通りまずは「神谷酒場」に直行だ。
ここは未だに木で造られた冷蔵庫が置いてあるらしい。
浅草の「神谷バー」から暖簾分けを許されたこの酒場。

そこにはどんな空間が広がっているのだろう。。


「初恋屋」
田端駅から徒歩3分
北区東田端1-12-1
03-3800-8278
17:00~ 土日祝休み


「喜多屋酒店」
田端駅から徒歩4分
北区東田端1-12-23
03-3893-2540
17:00~19:30 土日祝休み

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老舗でデート (鍵屋 根岸)

年末の話ですが、いつものように根岸の「鍵屋」に行ってきました。
ただこの日がいつもと違うのは、初めて女性を連れて行ったということです。

僕よりも少し年上のお姉様で週末はいつも和服を召している艶っぽい方なのです。
以前、ここの座敷で着物姿で飲んでいる女性をみて、是非いつかは彼女とと思っておりました。

しかし、この日は仕事帰りとのことで残念ながら洋服。
まあ、裏を返せばまた来れると言うことです。

創業は江戸時代。今の建物も大正元年に建てられたもの。
兼ねてからの誘い文句に彼女も少々興奮気味。

そして、鍵屋には女性だけではなく誰でも食いつくようなエピソードがまだあるのです。
しかし、検索してもまだ誰も書かれていない様なので、いま暫く胸に秘めておこうと思います。

この日は、燗付け器の少し右に通されました。
そして、この日初めて知ったのですが、男性と女性ではお猪口が違うのです。
女性のは少し寸胴型で紅い縁取りがされています。

なんとこれは女性の口紅が飲むときに付いてしまっても目立たないように配慮されてのこと。
いや~なんかこんなところまで江戸の粋を感じてしまいました。

若い女性に親父さんの機嫌も良く、この日もいつもに増していろいろな話を聞かせてくれました。

それにしても、老舗の居酒屋でデートというのも乙なものです。
共に湯豆腐を取り合い、燗酒を注ぎあい、頬を染める。

あくまでも、周りから見ていやらしくない風流な振る舞いが必要ですが。

僕の居酒屋行脚はほぼ100%一人なので、たまには良いものだなと感じました。
そして、人を連れて行きたいと思えるだけの居酒屋と出逢えたのは、喜ばしい財産です。

20代最後の歳にしてこのような愉しみ方も知り、この先の居酒屋ライフにも幅を持つことができそうです。
ありがとう、鍵屋。親父さん。

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もつ焼き ささのや(根岸)

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さて、鍵屋の温かさを感じた後は、多少寒くとも外で立ち飲み!
ここも有名な「ささのや」。

店内にも席はあるのだが、ほとんどの客が店頭に溢れるように群がり串を頬張る。
ここは、焼き手の前に置かれたタレ箱のなかに焼かれたものが次々と投じられる。
客は、そこからアツアツな好きなものを勝手に取り喰らいつくのである。

塩で焼いてもらうこともできるが、僕は雑な感じのタレが好き。
1本70円で食える串焼きは、ボール、トリ、ナンコツ、カシラ、ハツ、タン、シロ、レバー。
酒、酎ハイ、ビールはそれぞれ220円~500円。
客の回転も早くみなさっと喰らいさっと飲んで帰っていく。
串を5本酒2杯、〆て1000円もあればお釣りがくる。

夜風にさらされながら摘むモツのアツアツ具合が冬の醍醐味を味わわせてくれる。
僕は、上野の「大統領」やここ「ささのや」などの外飲みは冬こそ愉しいと心底思うのである。

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寒空の下、アツアツなモツに冬を感じる。

JR「鶯谷」より徒歩3分
台東区根岸1丁目3-20  03-3872-1997
定休 日曜、祝日 

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鍵屋、江戸一な日々候。

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最近、新規開拓する気がおきない。
いや、もはや必要ないとすら感じる。。。

そう感じさせてくれるのが、根岸の鍵屋(かぎや)と大塚の江戸一(えどいち)である。
週末になると僕は山手線を上野方面に乗り込み、大塚で降りるか鶯谷で降りるかとその日の気分と相談するのである。

杉の香る白鷹か鶴の友で石鰈を摘みたくなれば江戸一へ。
ご主人との距離と鰻のくりからで燗酒が愉しみたければ鍵屋へ。ってな具合である。

今日の鍵屋もなんとも愉しかった。
突き出しの煮豆を摘みながら、まずは甘いの(櫻正宗)を頂く。
そして待つは鰻のくりから焼き。

鰻の脂をほんのり甘い櫻正宗で包むうまさ。
たまりません。。。

そして、土曜日限定の玉子焼きを辛いの(大関)で頂く。
予め作られたおせちのような玉子焼きは、割りと玉子の味でほんのり甘くしっとり濡れているようだ。
これを共されたおろしに醤油を浸し玉子に乗せて頂く甘さと辛さのハーモニー。
これで頂く燗酒はこれまたこたえられない。

親父さんの焼きと燗の付け具合が愉しめる燗付け器の前の席も好きだが、僕は入り口近くの席が一番良い。
小上がりで酒を酌み交わす客、カウンターで煮奴を摘む常連、焼きで煙に燻される親父さん、そんな煙が滲み込んだ木目豊かな柱。
ここから見た鍵屋の店内は、まさに最高の肴だ!

焼きながら話しかけてくれる親父さんとの会話が愉しく、ついつい甘いのをもう1本〆で追加。
8時半には、いくら振っても出てこない徳利のケツを上げる僕の姿が今日もあった。


「鍵屋」

JR「鶯谷」駅から徒歩5分  台東区根岸3-6-23  03ー3872ー2227
営業時間/17時~21時
定休日/日曜・祝日

「江戸一」

JR「大塚」駅より徒歩2分   03-3945-3032
豊島区南大塚2-45  
平日 17:00~22:00
土曜 16:30~21:30
日曜定休


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遠太 (三ノ輪)

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三ノ輪に降り立ち、目的の店へと足を進めた。
しかし、良い酒場がたくさんあるな~。
辿り着くまでについつい浮気をしてしまいそうだよ。。。

この店も何年も前から来たいな~と思いつつ引きずってしまったな。
三ノ輪と言えば「遠太」。
「春は道沿いの桜が綺麗だよ~。」と聞いた桜並木はしっとり雨を纏い趣がある。
遠くからでも容易にわかる「やってるぞ 遠太」の看板が煌々と輝いている。

しかし、店の前までくると暖簾がしまわれている。
上からだけ中が見えるスリガラス越しに女将さんと目が合い、軽く会釈。
すると、戸を開けてくれる女将さん。
「まだ入れますか。」
「ええ。大丈夫ですよ。うちはいつも暖簾しまってるんです。」

懐かしい。。。田舎に帰省した時のような広い土間と高い天井。
そして、古いカウンター。なんともいいな。。。

たくさん下がった短冊に目をやると「お袋の味 ひじきの煮物」とある。
女将さんの「お袋の味」を是非味わいたい。
お通しが運ばれてきたら頼もうと思っていると、なんとお通しででてきた「ひじき」。
これが、うちのおばあちゃんの味そっくりな優しい味。
歳はうちの祖母より10も若く御歳74歳とのことだが、なんだか郷愁的な気分になってきた。
ここの名物「焼酎ハイボール」は遠太特製で琥珀色。270円とは安いな~。
これと共に摘むは、シュウマイフライ。この懐かしさを感じる取り合わせが「遠太」の魅力だとすぐに感じれる。

常連さんの小言に親身に付き合ってくれる女将さん。
どんな話題が振られようが、なんとも上手に返事を返す。
う~ん、女将さんの人柄と大きさを感じるな~。

この日は、大雨ということもあり常連さんが帰ると僕と女将さん、2人だけの時間が少々続いた。
そこで、さっきの暖簾の話を聞いてみた。

最近3回忌を迎えたご主人は生前天ぷらや鰻を出していた。なので、「遠太」の暖簾にも天ぷら、うなぎ、の文字が入っている。
ご主人が他界されてからは、これらは店で出していない。
なので、暖簾は店先には出さないそうなのである。
「暖簾を替えればいいんだけどね~。。。」という女将さんのなんとも寂しそうな一言が心に響いた。

銘酒居酒屋などでは、度々板さんの職人としての心を料理から感じられるが、ここ「遠太」では優しい「お袋の味」が沁みてくる。
遠太でしか味わえない味が、ここにある。


日比谷線「三ノ輪」駅より徒歩5分
荒川区東日暮里1-31   03-3891-1175
11時~14時と17時~22時の営業
日祝定休

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